TVを見ていて特に気の引かれたドラマの「漱石悶々」の宣伝です。私は小説が好きなので、これを見ることにしました。20代の頃の私は「明治大正文学全集」に読みふけった時代がありました。中でも「わが輩は猫である」「坊ちゃん」「草枕」等々。私は漱石の全作品を読みまくったようです。他にも引かれた作家は何人か居ましたが、漱石はダントツでした。自分の書く文章も漱石寄りが自覚されました。家人の一員から「母さんの文章の中身に文句はつけないが、文章のワンセンテンスは短くした方がいいよ。」と注意されて、私の漱石好みが良くない流れを作っているんだなとの反省を持ったこともありました。
あれから70年余。生活環境の変化はいつのまにか大きく小説への思い入れも変えたようです。TVのドラマを見ても「かつての紳士意識のうすれた文豪にされてしまったな」くらいの視聴後の感想として残る程度になりました。
生活環境の変遷が物事に対する価値観を変えるのは当然の成り行きと思いながらも、私の場合単なる生活環境の中に宗教の有無が関わっている事を強く感じています。13歳の時に不当な妹の死によって、神と出会って以降の生活が、時には濃く、時には淡く私の感覚を揺さぶるのです。このような日々を通して私は、後期高齢者の身となってしまいました。いつ襲われるかわからない体調不良の日を神様の御心のままに任せて、時々訪れる神の御恵みに幸福感を味わいつつ、今日も次に読むべき小説を探し続けております。
(K.N.)