それは青い小さい可憐な花で「大犬の陰嚢」という日本語学術名がひどすぎないかと思わせる花だった。「オオイヌノフグリ」といい植物学者の牧野富太郎氏が名づけた。種子が大犬の陰嚢の形に似ているからだそうだ。他に「天人唐草」という名前もある。
英語では「聖ヴェロニカの花」といい、ヴェロニカという女性は主イエス・キリストが十字架を背負わされてゴルゴダの丘を目指して歩いている時にそっとハンカチを差し出しその汗をぬぐったのだそうだ。興奮した群衆や役人たちが周りにひしめく中勇気がいったと思うが、彼女はそうしたのだ。ちなみにこのことは聖書には書かれていない。カトリックやギリシャ正教(東方正教)では聖人に数えられているそうだ。プロテスタントでは外伝となるのだろうか。
スマホで検索してみたら「聖ベロニカの花」や「聖ヴェロニカの花」は簡単に出てきた。しかし、私が見たブログの写真とは花の形が違う。狐の尾みたいだった。色は青で同じであるがアンダーカバーに使えそうな低い小さな花ではなく背の高い花だった。驚いたことにこの花には様々な種類があり、私が見た背の低い花はヴェロニカ・オックスフォードブルーという花なのだそうだ。
山岸凉子氏という漫画家の方がいらっしゃる。その方の作品のひとつに『天人唐草』がある。大変厳しい父親に抑圧されて育った娘。成人しても自己主張ができない彼女は社会に出てもうまくなじめず次第に家事に引きこもるようになる。母が死にその数年後に父が死んだ時彼女にとって非常にショックなことが起こり、気が狂ってしまうという話だった。「人間が抱える差別意識」と「家族関係から生じるトラウマ」を描いた作品。その中で彼女が小さい頃「オオイヌノフグリ」をきれいな花と思い父に「花の名前を教えて」と聞いたら非常に怒られたというエピソードがある。それで「オオイヌノフグリ」と「天人唐草」という花の名前は覚えた。中学生か高校生の時の話である。私は今年58歳になる。かなり長い話になってしまった。
去年の5月からフォローしているAmebaのブログの日本基督教団の西宮聖光教会の井原恵美子牧師が写真を載せていた。聖ヴェロニカの花として。その際日本語の名前も書いていたので「オオイヌノフグリ」とはこういう花だったのかと初めて知った。キリスト教にも出てくる花とは知らなかった。井原牧師がブログに載せたので記事を読んだ人の中には種を沢山彼女に送ってくれた方もいた。今年中にはまた綺麗な花の写真が載るであろう。
他に拡散してほしい情報には元フジテレビのアナウンサーの笠井信輔氏が白血病になり寛解した。その時入院した経験から病室で自由にWi-Fiが使えるようにと国会議員に働きかけ国家予算で病院に装置を取り付けることができる法案を通し、可決された。これは病院側がうちに付けて欲しいと言わなければだめらしい。声をあげて欲しい。入院中って、誰でも孤独だと思うので。(M.T.)