母が元気で独居暮らしの頃の物語です。
大寒のある朝、黒トラの猫が庭のふとん干し場から家の中の母の姿をジーッと見ているので、気になって庭に下りて猫の所に近づくと、首から何か書いたものがぶらぶら揺れて困っている様だったのです。
その名札には、
「メッセージ、私は老人ホームに行きますのでこの子を連れて行くことが出来ません。どなたか心やさしい方にお願い。この子の新しい飼い主になって下さい。名前は熊吉・メス猫・不妊手術済みです。とても気だてのいい子です。」
と書いてありました。母は熊吉に向かって言ったのです。
「今朝から私があんたの主人よ、ひっかいたりしないで仲良く暮らそうね。」
ここでは熊吉だけど、公園の子供達は「タマー」って呼ぶし、魚屋さんへ行くと「熊子ー」って呼ばれていた。
皆に愛されて、これって神は愛なり、あなたをみなし子とはなさらない、か?
(Y.K.)
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