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汝(なんじ)の敵を愛せ

汝(なんじ)の敵を愛せ

「汝の敵を愛せというのは、抽象的な博愛主義ではない。敵を憎むと認識が歪み、正確な判断ができなくなる。敵には敵の内在的論理がある。敵を愛すことによってその論理が見えてくる。当然、適正な対応策を立てることができる。功利主義的観点からも人を愛することは重要なのである。」

週刊現代1月21日号の、佐藤優(まさる)氏の書評の一部分である。彼は日本基督教団加茂教会に所属されているそうだ。

『宗教改革から明日へ』というチェコスロバキアのプロテスタント神学者ヨゼフ・フロマートカ(1889年~1969年)著の神学テキストを日本語訳した本の書評である。佐藤氏は外交官であったがこのフロマートカの神学に出会わなければ外交官になることもなかったそうである。また後年鈴木宗男事件に連座し逮捕され、512日間拘留されても自らの尊厳を失うことなく闘うことができたのは、フロマートカの神学的思考を体得していたからだそうである。

この本はフロマートカが、1956年に社会主義体制下のチェコスロバキアで刊行した論文集である。1991年12月にソ連崩壊は起こるが、それより前に生きたフロマートカは社会主義の中キリスト教を信ずる者として二級市民とされ、制限を受けた。その中でフロマートカは前向きに生き、抑圧を受ければ受けるほど人は平時には思いもつかなったことを考えるとして神学に取り組むのである。
佐藤氏は語る。

「人間は様々な失敗をする。しかし、心配することはない。そのような失敗をした人間を神は必ず追いかけてきて、適切な働きかけをするからだ。(中略)神は人間の悲惨さの最も深い深淵に独り子であるイエス・キリストを派遣したというのがフロマートカの確信だ。日常言語に翻訳すると、どん底のような場所でこそ外部からの働きがあって生きる力が湧いてくるということだ。家庭や仕事で辛いことや苦しいことがあったときも心配することはない。そこから立ち直る根源的な力が外部から準備されている。」

「信仰を持つ者は常に前を見る」というのがフロマートカの座右の銘であった。佐藤氏によると前を見るということは未来に対する責任を負うということなのだそうである。

信仰を持つ者は常に前を見て、信仰に生きるのだ。(M.T.)

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